1-3 不登校だった僕が高校に行きたいと思った理由

1:不登校が始まった頃のこと

はじめに:「高校なんて別に行かなくても…」と思っていた頃

不登校になってから、しばらくの間、僕は「高校に行かなくても別にいい」と思っていました。
学校という場所自体に嫌なイメージがこびりついていたし、
また同じような思いをするくらいなら、無理に行く意味はない、そう感じていたからです。

親や親戚が「高校はどうするの?」と話しているのを聞くだけでも、モヤモヤしたし、
心配されているのは分かっているのに、向き合いたくない話題でした。

でも、ある日を境に、少しずつその気持ちが変わっていきました。


きっかけは「自分の世界がこのまま終わる気がした」こと

家にいる時間が増えて、自分の部屋が“自分の世界”になっていく感覚がありました。
でもある日、その狭い世界に、少しずつ息苦しさを感じるようになったんです。

友達と関係が切れ、毎日が同じ繰り返し。
ゲームをして、YouTubeを見て、たまにコンビニに行く。
最初は気楽だったけど、**「これがずっと続いたら…?」**と考えると、急に怖くなりました。

そしてふと思ったんです。
**「このまま何もせずに終わっていくのは、なんか違う気がする」**って。


「高校に行く=すごいこと」ではなかった

僕が「高校に行きたい」と思った理由は、
別に「夢ができたから」でも、「勉強が好きだから」でもありません。

ただ単純に、**「今の場所から抜け出したい」「違う世界を見てみたい」**という気持ちが芽生えたんです。

不登校になって、狭くなっていた視野が、少しずつ広がり始めた感じでした。
高校に行くことがゴールというより、「高校に行けたら、自分の世界がもう少し広がるかも」——そんな期待がありました。


きっかけをくれたのは、同じように不登校を経験した人の言葉

ある日、ネットで「不登校から高校に進学した人の体験談」を読んだんです。
「自分と同じような人が、高校で楽しく過ごしている」という話が、不思議と心に刺さりました。

「この人も辛い時期があったのに、変われたんだ」
「もしかしたら、自分にもできるかもしれない」

そんな風に思ったことが、「高校に行ってみたい」と思うようになったきっかけでした。


自分で調べてみた「行けそうな高校」

それから少しずつ、高校について調べるようになりました。
最初に調べたのは、通信制高校でした。
「毎日通わなくてもいい」「自分のペースで勉強できる」という点が、当時の自分にはちょうどよかったからです。

そのうち、単位制や定時制、受け入れの柔軟な私立高校など、いろんな選択肢があることを知りました。

「学校=毎日行って、クラスに所属する」という形だけじゃないと分かったのは、かなり気持ちが楽になる発見でした。


親に伝えたときの反応

「高校、行ってみようかな」

ある日、思い切って母にそう言いました。
少し驚いたような顔をした後、母はこう言ってくれました。

「行きたいなら応援するよ。どんな学校でも、自分が選んだならそれでいいよ」

その言葉を聞いて、なんだか肩の力が抜けました。
自分で決めて、自分のペースで進んでいいんだって、初めて思えた気がします。


おわりに:「進みたい」という気持ちは、小さな種みたいなもの

僕が高校に行きたいと思った理由は、大それたものじゃありません。
ただ、「今のままでは嫌だ」と思ったことがすべての始まりでした。

不登校を経験した子の中には、きっと「このままでいいのかな」と思っている子がたくさんいると思います。
でもその気持ちは、**前に進みたいという“種”**なんだと、今では思います。

その種が芽を出すまでに、時間がかかるかもしれない。
でも、焦らずに見守ってくれる大人がそばにいれば、
いつか必ず、自分の力で動き出すときが来ます。

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